
安曇野市内の主に西山山麓において、サルによる農作物被害や人に威嚇する個体が問題となっています。安曇野市ではその対策として、令和5年8月に「安曇野市ニホンザル追い払い隊」を組織しました。サル追い払い隊の活動やその成果をご紹介します。

サル追い払い隊の趣旨
なぜ安曇野市でサル追い払い隊を結成することになったのか、その経緯と活動趣旨をご紹介します。

サル追い払い隊の活動
サル追い払い隊はその名の通りサルを追いかけています。どのように日々活動しているのか、ご紹介します。

追い払い活動の成果
安曇野市には10の群れが確認されています。その生息範囲や追い払い活動による変化についてご紹介します。

よくある質問・お問合せ
市民の皆さんから良くいただく質問をご紹介します。ご意見、お問い合わせは安曇野市耕地林務課までご連絡ください。
■サル追い払い隊の趣旨
結成の経緯
安曇野市では、主に西側の山麓(西山)でサルによる被害があり、地域の皆さんから被害対策を望む声があがっていました。サル対策では、対策技術として3つの柱(追い払い、侵入防止、環境整備)を地域住民主体で取り組むことが重要とされています。しかしながら、安曇野市内には、多様な生活スタイルの方、多様な意見を持つ方がいるため、地域ぐるみで対策を実施することは難しいものでした。そこで、市の財政負担をできるだけ軽くしつつ、広く市民の皆さんに対策に参画していただく体制として「安曇野市ニホンザル追い払い隊」を組織しました。
活動の趣旨
追い払いはサルに「人間が怖い」、「集落に近づいてはいけない」ということを覚えさせることを目的に行います。大きな煙火を打つと一時的には逃げますが、それだけだと分かるとサルはすぐに戻ってきてしまいます。サルが里に出てきたときに、複数人が協力して山の中まで追い払い、それを継続していくことで、サルがほとんど近づいてこなくなります。人とサルの本来の距離感を取り戻す、その活動を行うのがサル追い払い隊です。
■サル追い払い隊の活動内容
今回、サル追い払い隊の活動に同行させていただくことができました。その時の様子をご紹介します。
この日は事前に国営アルプス安曇野公園に出没していることが分かっていたため、そこから活動がスタートしました。
ゲートを越えたら早速発見!ゆっくり歩いて広がりながら近づいていきます。


走って追いかけないの?
走って追いかけると群れがバラバラになって、結局元の場所に戻ってきてしまうことがあります。
そのため、ゆっくりと群れ全体を山へ追い払うように隊員が連携をとって動いていきます。


走って追いかけるとサルが散らばって逃げてしまい、
群れの一部がまた里に下りてきてしまうことがあります。
サル追い払い隊員は、群れ全体が山に帰るように
GPSデータや群れの様子を見ながら歩いて追い払います。
サルは、柵の向こうへ逃げてしまったり、木に登ったりとバラバラに逃げていきます。


各群れにはGPS発信器をつけた個体がいます。目視に加えて位置情報を専用機器で確認しながら群れ全体を追い払っていきます。


この首輪からの位置情報を適宜アンテナを使って受信して、専用端末で確認することができます。群れのおおよその位置を把握するために、とても有用です。
姿は見えないものの林の中でGPSの反応がありました。しつこく探すと数匹のサルが出てきました。


威嚇してくる個体もいますが、ひるまずに追っていきます。
(威嚇されると少し怖いですが、安曇野市内に生息する
サルは威嚇してきても襲ってくることはありません)
追い払いを進めていくと山の方まで群れが移動していきましたが、まだ追い払いは終わりません。 林の中からこちらをうかがっているサルの様子も見えます。そこで、林の中まで追っていくことになりました。作戦を立て、藪の中を追っていく人、群れが道路側へ出てくるのを見張る人と二手に分かれて追っていくことになりました。


藪に入っていった班はあっという間に見えなくなりました。道路側からも群れの位置を確認しながらサル群れが出てきていないか確認します。


トランシーバーで追い払い完了の連絡があったのは、追い払い活動開始から約2時間半後でした。真夏のとても暑い日に汗だくになりながらの活動が無事終了しました。
最後に終了ミーティングをして本日の追い払い活動の振り返りを行い、解散となりました。大変おつかれさまでした。

追い払い隊の活動は、お盆・年末年始・悪天時以外は毎日実施しています。
GPSの位置情報ではサルが里へ出没していない時にも、実際には群れの一部が出没している可能性があるため、パトロールを行います。
■追い払い活動の成果
安曇野市では、追い払い隊の活動の効率化のために、西山に生息するすべてのサル群れの位置を把握できるよう、各群れのサルにGPS発信器を装着しています。それによって、サル群れの現在の位置情報を確認してから追い払い活動を行っています。また、そのデータを分析すると、追い払い隊の活動が始まって、どのような成果があったかを分析することができました。
安曇野市で確認されているサル群れ

安曇野市では現在10群れが確認されていて、各群れにGPS発信器が装着された個体がいます。
その位置情報を分析すると各群れの行動範囲が右の図のように整理できました。
(小さな黒い点がGPS装着個体の滞在位置で、各群れの滞在位置の範囲を囲って行動範囲を
把握しています)

GPSデータの分析から


有明を主な生息範囲としている「有明群」
のGPSデータを分析しました(令和5年2月
~令和6年2月)。
サル追い払い隊の活動が始まる前後で比べ
てみると、サルの移動距離が延びていて、
追い払いによって群れを移動させているこ
とがうかがえます。
また、滞在位置を比べてみると、活動が始
まる前には98%の割合で集落側に滞在して
いたサルが、活動が始まったあとには76%
と集落側での滞在が減少し、山側での滞在
が増加していました。
市にいただいた市民の方の声
- 最近サルを見なくなった
- 電気柵と追い払い隊の活動の組み合わせで、被害が減ったからありがたい
■よくある質問・お問合せ
よくある質問
追い払いなんて意味があるの?
サルのGPSデータを分析するとデータ上では成果が出ていますし、最近サルを見かけなくなったという方もいらっしゃいます。追い払いを継続することによって集落や人間が怖いものとサルに認識させてると、群れが山の中に滞在する頻度が高くなり、集落への出没が減っていきます。
追い払うより捕獲した方が良いんじゃないの?
すべてのサルを捕獲することは難しく、捕獲することによって群れが分裂して、生息範囲を広げてしまったり、捕獲したサル群れの生息地に他のサル群れが移動してきて、また捕獲しなくてはならなくなったりすることがあります。そのため、安曇野市では捕獲だけではなく、追い払いによって、サル群れの行動範囲を山側へ移動させようとしています。また、サルの餌になるものを放置してサルを呼び寄せないように、放置された果樹や野菜くずは片づけるなどの環境整備、農地は侵入防止対策を行うなどの各自の対策も重要です。
サルがいたらなぜダメなの?
サルを見かけると自然が豊かだと感じるかもしれません。しかし、サルは本来山の中で生活している野生動物です。人間の営みの産物(農作物や生ごみ)はサルにとってはおいしくて栄養価が高く魅力的です。それを知ってしまうと怖がりながらも集落に近づくようになり、徐々に人間を恐れなくなります。そうなってしまうと農作物に被害を及ぼす、人に危害を加えるなどして駆除対象となるのです。そうならないように、本来の生息地である山中に戻すのが追い払いなのです。
サルを見かけたらどうしたらいいの?追い払いってどうやってやるの?
サルが集落に出てきているのを見かけたら、すぐに追い払ってください。被害がないから、とそのままにしておくとだんだんと人に慣れて人を怖がらなくなります。追い払いは誰でもできます。安曇野市内に生息しているサルは、まだ人間に襲い掛かってくることはなく、威嚇してくる個体はいるものの人間が近づいていくと逃げていきます。ゆっくりと歩きながら群れ全体を移動させるイメージで山側へ追い立てていきましょう。追い払いは、できれば複数人で行ってください。
ご意見・お問合せ
ご意見・お問合せは 耕地林務課まで(TEL0263-71-2432)お願いします。